国の年金を中心とした情報をご提供します。
公的年金制度は5年に一度、将来の人口構成や経済見通しなどを検証しました。
マクロ経済スライドとは
今回の財政検証にあたっては、経済や就労のさまざまな前提が設定されました。経済前提は、内閣府の「中長期の経済財政に関する試算」で示された経済再生ケースに相当し、労働市場への参加も進む「ケースA~E」※と、同試算の参考ケースに相当し、労働市場への参加が進まない「ケースF~H」の8ケースが使用されました。
経済前提 | (参考) | ||
---|---|---|---|
物価上昇率 | 運用利回り 実質<対物価> |
経済成長率 実質<対物価> |
|
ケースA | 2.0% | 3.4% | 1.4% |
ケースB | ↓ | ↓ | ↓ |
ケースC | |||
ケースD | |||
ケースE | 1.2% | 3.0% | 0.4% |
ケースF | ↓ | ↓ | ↓ |
ケースG | |||
ケースH | 0.6% | 1.7% | ▲0.4% |
厚生労働省資料より抜粋し作成。
※労働市場への参加が進むケース
・女性 25〜44歳の就職率⋯⋯68%(平成24年)→73%(平成32年)
・高齢者 60〜64歳の就職率⋯58%(平成24年)→65%(平成32年)
年金制度についての前提としては、社会保障と税の一体改革によって成立した法律による今後の制度改正も反映されています。
・基礎年金国庫負担(税金)2分の1の恒久化
・年金額の特例水準の解消
・マクロ経済スライドによる給付水準の調整
・被用者年金の一元化(厚生年金には旧共済を含む。)
・短時間労働者への厚生年金適用拡大(25万人ベース)
将来推計人口は平成24年1月推計が用いられています。
その結果、「ケースA〜E」では平成55年度か56年度に年金財政のバランスがとれ、給付水準の調整が終了した後の最終的な所得代替率が50%を確保していることが示されました。
一方、「ケースF〜H」では、それぞれ平成48年度から平成52年度の間に、年金財政のバランスがとれないうちに所得代替率が50%に達しました。「ケースH」は機械的に調達を続けると平成67年度に国民年金の積立金がなくなり、その後は給付費を保険料と国庫負担だけど賄う完全な賦課方式に移行することが示されました。
なお、どのケースにおいても、次の財政検証までに所得代替率が50%を下回ることはありませんでした。
人口の前提:中位推計(出生中位、死亡中位)
経済の前提:高成長(ケースA)から低成長(ケースH)までさまざまな仮定
*平成36年度以降20 ~ 30年間の実績経済成長率は、「ケースA:1.4%程度」~「ケースH:▲0.4%程度」
今回の財政検証では、以下の制度改正を仮定したオプション試算も行われました。
それぞれ給付水準を調整する時期が短縮され、所得代替率を引上げる効果が得られることが示されました。
物価や賃金の伸びが低い場合でも、マクロ経済スライドによる調整がフルに発動されるしくみとした場合